農地に家は建てられるか
農地に家を建てることは可能ですが「法的な手続き」が必要です
農地に家を建てる事は不可能ではありません。しかし、法律的にいくつか越えなければならないハードルがあります。所有している農地に、無断で家を建築してしまうことは、法律違反になってしまう可能性がありますので、きちんとした手続きをとる必要があるのです。
関連する主な法律は「農地法」と「建築基準法」です。
農地法の問題
まず、農地法について説明します。農地法という法律は、国内の農業生産力を維持するために作られた法律です。従って、現在農地として利用されている土地を、むやみに他の用途に使うことを制限しています。
農地に家を建てるには、「宅地に転用(用途を変更)する」という手続きが必要になります。この手続きを、「農地法4条・5条許可」と呼びます。
<メモ>
4条許可と5条許可の違いは下記の通りです。
- 4条許可:転用のみ(権利移動をしない。つまり自己所有のまま使用する。)
- 5条許可:転用+権利移動(売買や賃貸借を行う。)
宅地などに転用する場合には、農業委員会の許可が必要になります。農業委員会に農業として届けることで、農家住宅として家を建てることが可能になります。
なお、はじめから所有していた農地ならまだよいのですが、他から購入する場合、そもそも農家でないと農地の購入は難しいという前提もあります。購入を認めてもらい、かつ、転用を認めてもらわなければいけません。従って、例えば知人が農地をもてあましていて、その土地を買い取って家を建てようとするのであれば、所有者の方にあらかじめ宅地用へ転用をしてもらい、その上で購入をするという方法がよいでしょう。
また、その土地が市街化調整区域である場合は、都市計画法の中で市街化を抑制する区域として、原則的に家は建てることができません。ほかにも、3年3作の間は原則として転用不可であったり、国が行った圃場整備で作られた田んぼの場合は、8年間は宅地への地目変更が禁じられているなど、時間的な制限もあります。
建築基準法の問題
建築基準法によると、建物を建てる為の敷地は、道路に面している必要があります。また、道路幅と、接道長さについても規定があります。具体的には、、幅4メートル以上の道路に、2メートル以上接している必要があります。
しかし、もともと農地である場合、周囲に対象となる道路が存在しないことが多く、条件に該当しない可能性が高いのです。建物以前に、道路整備をしないといけないかもしれません。
<まとめ>
農地に家を建てることは可能ですが、農地法・建築基準法というふたつの法律に基づく手続きが必要です。司法書士・一級建築士など、専門家の助力は必須でしょう。また、これから農地を購入する場合は、売却してくださる方の協力も不可欠です。
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