不動産は相続トラブルの元になりやすい理由(体験談)

不動産の相続は大変だったという私の体験談

不動産は相続トラブルの元になりやすい理由

 

正直言って、不動産の相続は大変というのが私の実感です。ここでは実体験に沿って、注意点を紹介してゆきます。なお、今回は私自身が相続したわけではなく、祖母から親への相続の話です。

 

私の父は次男で、兄がいます。つまり私の叔父にあたるわけです。叔父夫婦は、母親、つまり私の祖母にあたる人と同居していました。年齢も90に到達しようかというところでしたので、つまり介護をしていたということになります。ちなみに、その家は祖母の所有している家でした。

 

その祖母が他界した時のことを話しましょう。90歳近い大往生ですから、安らかなものです。立派な生涯を全うされたということで、親戚一同、心静かに見送りました。

 

しかし、大変だったのはその後です。

 

私の両親も、叔父夫婦も、資産やお金のことについて、きちんと準備をする性格ではなかったのが、災いしたという感じです。遺産の配分について、何も準備していませんでした。法的に有効な遺言書というのもありませんでした。その為、「遺産をどうやって分けるか」というところで完全につまずいてしまったのです・・。

 

遺産の配分をややこしくする2つの概念

不動産は相続トラブルの元になりやすい理由

 

実は私も遺産の配分がそんなに難しいと知りませんでした。法定相続という言葉があって、続柄ごとに、配分率が決まっていますので、淡々を分ければよいのだと思っていたのです。しかし、「特別受益」「寄与分」という概念が事をややこしくします。

 

特別受益

おおまかに書くと、故人の生前に、すでに何かしら受け取っていた人は、遺産の配分から、その分を差し引くという考え方です。今回は、叔父夫婦が、祖母の所有していた家に住んでいたということがこれにあたるようでした。

 

寄与分

おおまかに書くと、故人の為に世話をしたなどの功績分を、遺産配分の際に考慮しましょうということです。今回は、祖母の介護をしていたというのが、これにあたりました。

 

つまり、叔父夫婦には、プラスとマイナスの両方の条件があったのです。

 

従って、遺産を相続するにあたっては、祖母の残したわずかな金融資産と、叔父夫婦が同居していた家を合計して、兄弟で平等に分けるといのが父の持っていたイメージでした。一方で、叔父側としては、同居していた家は無条件で引き継げると思い込んでいたわけです。その上で、金融資産を等分すると考えていたようでした。

 

不動産ならではの難しさ

不動産は相続トラブルの元になりやすい理由

 

不動産が厄介なのは、お金のように簡単に分割することが出来ないという点です。単純に、家をスパッと割って分けるわけにはいきません。従って「お金に換算すると、どれくらいの価値になるのか」という評価が必要になってきます。

 

ここで難しかったのは、家の不動産評価額が思ったよりも高かったことです。家の不動産評価額を考慮して遺産を等分しようと思ったら、叔父夫婦が住み続けるためには、精算としてかなりの額を父に支払わなければならないという計算になったわけです。

 

さらに、不動産を相続すると、その評価額に応じた相続税が義務付けられます。そして、当然ですが相続税は現金で用意しなければなりません。不動産を持っていたからと言って、お金が沸いてくるわけではありませんので、この現金は、預貯金などから補てんする必要があるわけです。

 

しかし叔父は地方公務員で、それ程裕福という訳ではありません。不動産を相続したうえで、精算分のお金を父に払い、さらに相続税を納めるのは現実的に無理でした。

 

最終的には、比較的所得の多い傘地蔵の両親が折れる形で、叔父が不動産を、父がわずかな金融資産を受け取る形で遺産配分は決着しました。しかし、決まるまでの間の気持ちの重さといったら、まるで喉に魚の太い骨でも刺さったまま暮らしているかのようでした。

 

それに、完全に親戚関係がほぐれたかというと、僕はそう思いません。お金の問題というのは、人間の本性が見えてしまいます。何とか解決したとしても、シコリが残るものです。

 

なにしろ、家という不動産がいったいどの位の市場価値があるのか、査定してみるまで誰も知らなかったというが、大きな反省です。

 

前もってきちんと査定しておけば、まだ少し違ったかもしれません。なので、不動産を所有している高齢者がいらっしゃる場合、相続に直面する前に、できれば一度、不動産を査定して、親戚で相談しておきましょう。