売った家が欠陥住宅だったら、買い主へ賠償しなければならないか
家を売った後に欠陥が分かることはあり得ます
大事に使って来た家とはいえ、時間の経過や、過去にリフォームした影響などで、どこかに不具合が起きている可能性はあります。もちろん、不具合を自覚している場合には、きちんと媒介してもらっている不動産会社に言って、売却の際の重要事項説明で伝えなければなりません。
しかし、難しいのは、自分でも気づいていない不具合です。
専門家が調査しなければ分からないような事柄や、悪気なく建物を損傷してしまっていたような場合です。
- 家が傾いている
- リフォームの影響で柱が強度不足になっている
- 既存住居を解体したら埋設物があった
- 過去にその土地で自殺があった
こういう場合には誰がどう責任をとるべきでしょうか。売り主も、買い主も、不動産会社も、「なんで私が責任を?」と感じてしまうような状況もあるでしょう。
このあたりを整理してゆきたいと思います。
売った人の責任?不動産屋の責任?
まず、法的な扱いを整理しましょう。
売った人の責任
ひとつは、瑕疵担保責任です。
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瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)が問われるポイントとしては、買い主がきちんと説明を受けて納得していたかという事です。買い主が、買う前に、きちんと不具合を理解したうえで、それを承知で購入した場合には、売り主に責任はありません。逆に、買い主が知りようもなかった場合には、売り主側に瑕疵担保責任が問われます。
ところで、もうひとつ大事な責任があります。それは不法行為責任です。
それは例えば、売り主がすでに不具合を知っていたのに、意図的にそれを隠すつもりで伝えなかった場合です。この場合は瑕疵担保責任だけではとどまりません。契約において不法行為を行ったとみなされて、追加で損害賠償を請求される可能性があります。
簡単に言うと、不誠実なことは、しないようにしましょう!
不動産会社の責任
不動産会社が責任を負うかどうかは、説明義務をはなしたか、はたさなかったかというところがポイントになります。
もし、売り主から提供された情報から、家の不具合を知ることができたのであれば、当然、買い主にそれを説明する義務があります。その義務を怠ったと見なされた場合には、不法行為による賠償責任が問われます。
逆に、不動産会社としては、不具合を知る方法がなかった場合には、原則としては責任を問われません。
瑕疵担保責任に関する特約について
では、売り主は、売った家が欠陥住宅ではなかったか、ずっと不安に思いながら過ごさなければならないのでしょうか?いえ、通常、そういうことはありません。
重要なのは、不動産売買契約書に盛り込む、瑕疵担保責任に関する特約です
売り主(あなた)が一般人(不動産業者ではない)場合
- 瑕疵担保責任を負わない特約
- 瑕疵担保責任の期間を短くする特約
を契約に盛り込む場合が多いです。
この項目を盛り込むことによって、売った建物に隠れた瑕疵があった場合の責任を期間限定にする、あるいはまぬがれることができるのです。従って、売買契約書を取り交わす際には、瑕疵担保責任に関する内容がどうなっているのか、しっかり不動産会社から説明を聞いて、よく理解しておくことが大事です!
判断が難しい場合もあります
ここまで書いてきたことはあくまで原則です。
欠陥住宅に関する責任の所在は、判断が難しい場合があります。原則通りいかないケースもありますので、トラブルになったら、専門家に相談しましょう。
ただしトラブルにならないために、一般人である売り主にできることは、家を売る段階で、
- 分かっていることは全て伝えること
- 売買契約書の瑕疵担保責任の項目に注意すること
この2つです。
売却の媒介を依頼する不動産会社を選ぶときは、このあたりについてきちんと相談にのってくれるか、というところもチェックするとよいです!