投資物件の売り時は?
投資用の不動産は永久に保有する方が得か?
最近は個人の不動産投資家が珍しくなくなってきました。会社員をしながら不動産投資をしている方のことを「サラリーマン大家さん」と呼んだりもしますね。実際、私の周りにもサラリーマン大家さんが何人かいます。
さて、個人で不動産投資をされている方の中には、次のように考えている方も多くいらっしゃるようです。
「ローン(融資)の返済が終わるまでは、月々の返済が、家賃収入とトントンでもいいので頑張って返済して、無事完済したあかつきには、永久に不労所得を産んでくれる『金のなる木』になるなあ、ワクワク」
もちろん、その考え方が間違っている訳でではありませんが、保有し続けることが一番得かというと、必ずしもそうとは限りません!
なぜならば、市場の動きによって、うまく高値売却ができれば、その資金を利用して、より高い収益が見込める物件に「買い換える」ことが出来るかもしれないからです。
一般的には、不動産は時間とともに劣化しますので、経費もかかり、収益性は徐々に落ちてゆきます。従って、上手に「買い換える」ことも視野に入れておく方がよいわけです!
不動産投資の「出口戦略」としての売却
不動産投資で儲かるお金というのは次の式のようになります。
「インカムゲイン」+「キャピタルゲイン」−「経費・税金」
- インカムゲイン=家賃収入
- キャピタルゲイン=売却益
もちろん、買った時よりも高く売れるとは限りません。買った時よりも安く売る場合は、「損」ということになりますのでキャピタルゲインではなくキャピタルロスと呼んだ方が正確です。そのような場合は次のように表現したほうがよいかもしれません。
「インカムゲイン」―「キャピタルロス」−「経費・税金」
つまり、不動産を購入し、賃貸収入を得て、最後に売却した結果、トータルでプラスの収益になれば、不動産投資を行ったかいがあった、と考えるわけです!
なお、例えばフルローンで融資を受けて、家賃収入でコツコツと返済してローン完済した場合、その時点で
「インカムゲイン」>「キャピタルロス(含み損)」
になっていますから、収支で損をするということにはなりません。
ただ、高値で売却できてキャピタルゲインも得られれば、もっと得をする可能性があるということです。
個人投資家は5年以上保有しよう
ここで、不動産を売却した場合の税金について触れます。
関連記事:不動産を売却する際にかかる税金
支払う税額は、譲渡所得に税率を掛けて計算しますが、ここで気を付けなければならないのは、不動産を所有していた期間によって税率が大きく異なるということです!!
区分 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
長期譲渡所得 | 5年を超える | 15% | 5% |
つまり、5年以下で売却すると、利益に対して高い税率がかかります。従って、5年以上保有することを原則としたほうがよいです!
売却する時期を見極めるには?
積極的にインカムゲインを狙ってゆく場合は、高く売れる時期に売るのがよいです!
とてもシンプルな話ですが・・。
不動産の相場は常に動いていますので、時々査定してみて、値動きをつかんでおくのもひとつの手かもしれません。
もうひとつ大事なことがあります。それは、不動産収益にかかってくる所得税と住民税です。
まず、投資物件のローンは「元利均等返済」で組む事が多いです。この元利均等返済で注意しなければならないのは、返済が進むほど、「元本返済分」が増えてゆくということです!
そして、重要なことは、
- 「金利返済分」:経費に計上できる
- 「元本返済分」:経費に計上できない
ということです。
これがなぜ重要かというと、実際には
「家賃収入」−「ローン返済分(元金+金利)」−「諸経費」
の現金しか手元には残らないのに、税務上は、
「家賃収入」−「ローン返済分(金利のみ)」−「諸経費」
が利益として計上されてしまうため、
現金が残っていないのに、税金の支払いが発生する
という事態におちいる可能性があるのです!
これは、事前に計算しておけば、どの位の時期にやばい状態になるかが分かりますので、あらかじめ売却の準備をしておいたほうがよいでしょう!