両手仲介とは

不動産業者が不動産を売却したい人(売主)と購入したい人(買主)との間を取り持つことを、宅地建物取引業法では「媒介」、一般には「仲介」と呼んでいます。
売主が不動産業者に不動産の売却を依頼する際の契約形態としては、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つの種類があり、一般媒介契約では複数の不動産業者が依頼を受けて購入希望者の募集から契約に至るまでの一連の業務を行いますが、専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合には、こうした業務を依頼できる不動産業者は1社のみと決められています。

 

「両手仲介」と呼ばれるものは、このように仲介をする不動産業者が1社のみの場合で、売主からは不動産売却の依頼を受け、買主からは同じ物件の購入手続きの依頼を受けているというように、不動産売買契約の当事者双方から仲介手数料収入があるようなケースのことをいいます。反対に、売主と買主が別々の不動産業者を通じて取引をしているような場合には、不動産業者の仲介手数料収入は片方の当事者分だけとなりますので、「片手仲介」ということになります。

 

不動産業者としては、売却を依頼された不動産物件をインターネット上で紹介したり、チラシに掲載したりするなどの広告宣伝費や、契約後の買主への住宅ローンの手配や契約書類の作成などに多額の費用が必要となることから、できるだけ両手仲介によって収入源を確保したいと考えています。
不動産業者が仲介手数料として得ることができる報酬の上限額は、実は宅地建物取引業法の規定により国土交通大臣が定める告示によってあらかじめ決められており、不動産の売買金額に応じて、その3.24パーセントから5.4パーセントの範囲内に抑えられています。
このため、不動産業者は広告宣伝などにある程度の経費を割くことができる両手仲介の不動産物件のほうを優先して紹介する傾向にあり、売主にとってはそれだけ熱心に売却に向けた活動をしてもらえることになり、また買主にとっても同じ物件なのでスムーズに購入のための手続きを進めてもらえるというメリットがあります。