断熱リフォームの概要・流れ・料金

断熱リフォーム

 

近年の住宅は、いわゆる乾式工法と呼ばれる水を使わない建築工法が主流になり、プラスターボードや断熱材のような材料が使われるようになりました。これにより、建築工期は圧倒的に短くなりましたが、断熱材の重要性については現場においても、予算などの事もあって余り理解されていないところがありました。

 

1970年以降もそういうわけでサッシ回りや壁の内部、床下、天井裏といったところに断熱施工がなされず夏場は暑く、冬場は寒いという住宅もあちこちで見られるようになりました。

 

現在では高気密・高断熱化工事によって省エネ効果が期待できるようになりこれらが標準仕様になりつつあります。サッシもアルミから樹脂サッシに、そして二重サッシや複層ガラス入りの窓などにとって替わりつつあります。

 

断熱リフォームの概要

 

断熱リフォームは外気に接する床や壁、天井や屋根、開口部の窓などに断熱効果のある部材を用いて施工する工事のことを指します。しかしこれを安易に考えて施工を行うと新たに結露を生じることもありますから正しい知識を持ってこれに当たることが大切です。

 

あまりリフォームの予算がとれない場合には優先するべき場所として窓回りがあげられます。この部分は窓と壁との間に隙間が生じていると外部から熱の出入りが多く、同時に窓ガラス面を通じても大きな熱移動が伴います。これに対処するには真空な層のある複層ガラスを用いたり、二重サッシを用いる方法がよくとられています。

 

床の断熱も効果があり、床下部分には断熱材が入っていない場合が多く、冬場は寒い思いをすることも少なくないとされています。この場合には床材を剥がして断熱材を入れる場合と、床下へ入り込んでこれを施工するという2つの方法があります。厚みのない床材の場合には経年劣化で撓みが生じている場合も考えられますからこのような場合には床のリフォームも兼ねて行う方が安上がりになる場合もあります。

 

壁の断熱化工事は壁を剥がす必要があります。そして壁の解体と補修工事や下地貼り、仕上げ材の施工という流れになり、内装の模様替えや間取り変更、構造材の補修などと組み合わせて行われることもあります。

 

外壁を断熱材入りのサイジング貼りにするといった断熱工法もあります。天井裏は屋根瓦を伝って入って来る熱でこの空間が暑くなるケースが多いもので、断熱化工事では大切な部位でもあります。そして隙間があると効果が半減しますから暗いところでもあり作業はこれらのことをチェックしながらやる必要があり、床・壁・天井面がバランスよく断熱化されることが大切となります。

 

断熱リフォームの流れ

 

断熱リフォームを行うにはまずロックウールやグラスウールなど使用したり、吹き付け工法、外断熱工法などがあったりしますが基本的には厚みは100ミリ以上のものを使わなければその効果はないとされています。

 

こうしたリフォーム工事を行うには引越しなど大掛かりなものになると考えるものですが、現在の住まいで暮らしながら工事を行うことは可能です。その際には外断熱といって既存の外壁の外に断熱材を施工し外装材を貼る方法や、内部で吹き付け式の断熱リフォームが行われることもあります。

 

後者の場合にはトラックで家庭を訪れて工事の概要が説明されます。そしてなるべく音を立てないように静かに施工が行われます。天井や床部分に侵入口を設け、機械の設置スペースを確保し、作業用のホースの経路を確保します。床下や小屋裏などの侵入口に物が置かれている場合には許可を得た上で他の場所へ移動したり不要であれば撤去も行います。そして、住宅の各部分を傷つけないように工事施工場所までの経路を保護材で養生を行います。

 

それから床や壁、天井、通気の間隙、基礎の立ち上がり部分などへ断熱材を吹き付けて行きます。床部分は基礎部分の断熱施工によって床部分に隙間が出来ないようになり気密化が図れます。壁部分については配管部分やコンセントの裏の部分、熱の伝わる金物部分、あるいは筋交部分の隙間などにも充填して行きます。

 

その後にはみ出た箇所や余分な箇所を削り取って均し、清掃を行います。工事が完了するとその状況の確認が行われ問題がなければ引渡しとなります。点検等入念なチェックは行われていますが工事施工後に不具合が生じているのが見つかった場合には無償の対応もやってもらえるようです。

 

断熱リフォームの費用

 

断熱リフォームの料金については、施工業者の施工方法や見積の仕方にも違いがあり見積料金もかなり違って来ることがあります。メンテナンス内容と共によく各業者の工法や内容を確かめた上で依頼することが大切になります。

 

又、1社だけではその料金が高いのか安いのかわからないもので比較するには複数の業者で見積を出してもらうことも大切です。その際には工事施工に各項目が無く一式で計上されている業者は要注意であって内容が不明な点は直接尋ねることも大切です。

 

断熱リフォームの工事費用が高くつくということで、ホームセンターなどで断熱材を購入する、あるいはインターネットの通信販売でこれを購入して自分で行うという方法もありますが、素人考えでは上手く行くことはなく、隙間を埋める作業は道具も必要ですし知識や技術を要します。よって注意点としてやり直しになることを防ぐ意味でも専門業者に任せたほうが良いものです。

 

断熱リフォームの注意点としてはシックハウスのような化学物質が使われている場合には室内の空気を排出することが大切となりますから換気設備を設けて常時運転させることも必要となって来ます。

 

石油ファンヒーターなどを使う場合には灯油が燃焼する際に水と二酸化炭素が発生しますので結露を生じる場合があります。又、二酸化炭素の量が増えると酸素欠乏が起こることがありますのでこれらの器具はなるべく使わないように注意したいものです。

 

断熱リフォームについてはさらに断熱性を高める方法として外壁や屋根の遮熱塗装とか断熱塗装とか呼ばれる塗装方法もあり、こちらの方は工事期間も短くて費用も高く感じることがあるようですが耐久年数は20年近くありますのでその間メンテナンスが不要であれば割安であるとも言えます。

 

まとめ

 

住宅工事はかつて木造在来工法で土塗り壁という湿式工法という伝統的な工法が行われて来ていました。高度成長期の時代に入って住宅需要が増加し、工期時にこれに間に合わせることが出来なくなり石膏ボードや断熱材が使われる乾式工法と呼ばれる工法がとられる時代にとって替わって来ました。

 

その当時は工期や予算などから断熱材の内容自体が十分に把握されていなかった可能性もあり、これらの工事がなおざりにされるケースも多かったと見られています。近年地球温暖化時代を迎え二酸化炭素の排出量の削減が叫ばれている状況においては気密断熱性を持たせた家造りが重要になって来ています。そしてこのことで光熱費の削減にも結び付いて省エネ生活も実現することが出来るものです。

 

断熱リフォームについては主として床・壁・天井を中心に行われ、厳密にいうと窓のサッシやガラス面にも及んで来るものです。内断熱と外断熱の方法があり工法の選び方によって工事期間や費用も変わって来ます。

 

これらの工事を依頼するには施工業者の工法や料金についても良く調査し、料金も各社によって開きがあり1社に見積依頼をすることが無いように複数の会社でこれをとることが大切になります。このことで内容を比較検討することが出来て、見積内容から安い料金で工事を行うことも可能になります。