アスベスト(石綿)とは

アスベストとは、和名を石綿(いしわた、あるいはせきめん)と呼ばれる、繊維状の鉱石です。この物質は、耐久性、防火性、絶縁性、耐薬性という優れた耐久性をもち、また価格的にも安い素材でした。アスベストは繊維状であるために、紡績加工することで様々な媒体に利用することが出来、不動産関連では、主に防音や断熱、保温の素材や屋根瓦などに使用されてきました。アスベストの使用は、実は古代のエジプト時代にまで遡ります。

 

しかし現在、日本でアスベストは使用が禁止されています。それは人体に有害だと判明したからです。アスベストを特に呼吸から肺に取り込むと、肺がんや中皮腫のリスクが2倍になるとされ、国際機関から発がん性物質と勧告されているほどで、2012年の中皮腫による死亡者数は1400人にのぼりました。

 

アスベストの使用は2006年に代替品が確立困難な品目を除いて全面禁止となり、不動産関連に於いては先駆けること31年前の1975年に吹き付け使用が禁止されました。しかしながら、現在不動産関連では、このアスベスト問題がむしろ深刻化しています。一番の問題は、規制される以前に建てられた建築物が、建て替えの時期を迎え、解体に伴うアスベストの飛散問題が顕在化して来たのです。2005年に、アスベストは健康被害をもたらすものとしてクローズアップされ、翌年、救済法が成立したことで公害の一つとして扱われ、物件取引の際のリスク要因と位置づけられるようになりました。

 

現在、建築物件の所有者にとって、解体の際のアスベストの対策は喫緊の課題と言えます。
解体による健康被害を発生させてしまえば、将来に渡って損害賠償や責任問題などを問われかねず、またその物件の資産価値の大幅な低下も招くことになります。そのため、アスベスト診断を行った上で、適切な除去作業の工事を行うことで、アスベストのリスクを避けることが強く求められているのです。また、震災等の建築物件の倒壊によってアスベスト飛散の二次被害も予測され、耐震化診断の際にアスベスト診断も同時に行う事例も増えてきています。